ラストサムライ

お客様のザイオンファミリーが久しぶりの来店である。

お母さんはアメリカンスクールの校長先生、お父さんはエンジニア、長女の中学生は反抗期、長男の小学生はオテンバ盛り。

「この前日本の映画を観たらJPがでてたよ!」お父さんがオレに笑顔で話しかけてきた。

もちろん英語!

英語話せるのかって聞かれると即答で無理って答えられる自信がある!でもコミュニケーションはいつも誰でも取れてしまう特技を持っている。

「いやいやオトン!オレが映画に出てる訳ないやん!」

「どうせ人相悪いから犯人役とかでしょ?」

「違う!ラストサムライに出てたよ!」

はぁ???全く身に覚えがない…💧

当たり前だ…💧

ただの飲食店の店長なだけの人間だもの

「ケン・ワタナベ!」

「誰やねんそれ?」

「はぁっ!!!まさか渡辺謙???」

嬉しいような恥ずかしいような…💧ってか渡辺謙はオレよりずっと年上だし…複雑…💧

「なんかありがとうね…💧」

「でも渡辺謙はオレやないで!似てるかぁ?」

長男のザイオンが「ラストサムライ!ケン・ワタナベ!!!」

テンション高すぎだ…💧

ザイオンのためにも「でもオレはラストサムライだよ!」

「リアリー?」ザイオンファミリーがシンクロした!

「そぉ!オレはラストサムライ

浪人って知ってるか?」

「ワット?浪人???」

反抗期の長女がいがいにもくいついてきた。

「浪人はプロのサムライだよ」お父さんが娘に説明している。

お母さんが「嘘はよくないよ!日本人なら正直に生きなさい!」さすが教育者。

正論である。

「嘘やないで!オレは浪人なんやで!」

「オレは色々なオーナーさんについて飲食店を立ち上げて運営して渡り歩いてるから浪人なんやで!」

「ワンダホー」ザイオンファミリーのシンクロが歓喜の雄叫びとなった!

お母さんが「あなたは真のサムライだよ!ラストサムライ!」

ザイオンはアメコミのヒーローが自分の前に実在してるかのように目を潤している。

長女は「ナイスガイ!」とため息交じり

お父さんは相変わらず「ケン・ワタナベ!」

 

あなたも真のサムライ…ラストサムライに会いたければ来店をお待ちしております。