雨男

水不足の時期なら喜ばれるのだろうけど雨男は基本辛い…💧

今まで夢の国には何度か行ったが全て雨…

そぉ!空いてるよ!並ばないよ!でもね!アトラクションは雨のため動いていないしパレードも中止!もちろん花火なんて上がらない!これがボクにとって夢の国なの!

まぁ夢の国だけの話ではない。

長野県に旅行に行った時も夏場のスキー場で満天の星空を見れるというので参加したがやはり雨…チケットを予約で購入していたので返金なし。

富士山の近くの湖でバーベキューを企画した時も雨がすごくて増水…💧身の危険まであった!

でもねいつも前日の夜はワクワクして寝れないんだよね…💧どうせ雨なのに…

犯人は現場に戻る

「おい!純平!ええのが手に入ったぞっ!」大人気なくはしゃいでいる父親はそんなに珍しくない。

「なんなん?」面倒臭そうに聞くと「人間が丸々入るぐらいに膨らむ風船や!!!」なんと得意気なんだろう。

「そんなんどうしたん?」

「ええからついてこい!」

訳割らさず連れ出され近所のタクシー整備工場に行った。

今日は休日な事もあり誰も整備工場にはいなかった。

「おとん!誰もおらんのにええの入って?」

何も答えないで普通に自分の工場のごとく入口から入っていった。

「知ってるか?風船にいっぱいガス入れたら人間が飛べるんやで!」

マジかぁ!それはすごいやないかぁー!

おとんって何でも知ってんなぁ…と感心したぁ。

ボクほどの大きさのあるガスボンベがありその口に大きな風船を差し込んだ。

さっきよりも得意気なおとんって周りの友達より友達な感じがしてすごく好きだった。

そんな事を考えているあいだに風船は見る見る大きくなりボクの体がスッポリ余裕で入る大きさになった。

風船の口を結んで「ほら見とけよ!」

おとんが風船から手を離した途端ポンポンポンと地面に跳ねた。

「ん?浮かへんやん!」得意気だったおとんが鬼の形相になっていた。

ヤバい!完全に切れてる!ボクは自分の身の安全を案じた。

「なんかおもんないなぁ!帰ろっ!」何事もなかったかのようにおとんは振り返りボクに何も言うなという圧力を与えていた。

そぉガスボンベの中身は空気より重いガスだったのだ。

自分の子供に風船にガスを貯めて飛ばしてあげようとしていたおとんのは面目なく感じているに違いない。ならボクは子供として出来るだけ触れないでおくというスキルをフル活動させた。

よく使いに行かされるショートホープに火をつけて何事もなかったかのように帰ろうとするおとんは頼もしかった。なんだろぅこの気持ちは…ボクが大人になって息子が出来たら理解できるのかなぁ…ボク。

ショートホープを投げ捨て整備工場を後にした二人は風船いがいの話題を出来るだけ続けた。「セミうるさいなぁー」「今日暑ないかぁ?」なんて意味のない会話なんだろう…その時!

ドッカーン!!!!

バリバリバリ!!!!

爆発音と同時にガラスが割れる音!

そしてツーン……

鼓膜がツーン…

二人共ツーン…

しばらくボクがパニックに叫んでいてもツーン…

ボク声はおとんには伝わらず、おとんの声もボクには伝わらなかった。

しばらくして少しずつ聞こえ始めたおとんの声は「純平!ワシらは何もやってへん!」だった!

「何があったん?戦争?」

火垂るの墓をよぎった。

「違う!整備工場で爆発や!」

見事だ!息子を共犯者に仕立て上げていた。

怖くなったボクはおとんの手を握りその小さなボクの手をおとんは力強く握り返した。そぉ、ボクらは共犯者だから運命共同体なのだ。

しばらくその場で立ち尽くしていると遠くからサイレンの音。消防車と救急車、パトカーだ。

同時にいろんなサイレンを聞くとなお恐怖心が増す。

おとんに引っ張られてタクシー整備工場に戻ると警官がロープを張り消防隊員がホースを伸ばしたくさんの大人たちが野次馬で集まり、その後ろには友達たちがつらなって大騒ぎになっていた。最前列に陣取ったボクとおとんは消火活動を感心しながら見届けていた。

となりのおじさんが「なにが原因なん?ボイラーか?」とロープの中にいる消防隊員に質問攻めしていた。

「まだ原因がつかめてないので危険がありますから下がっててください!」少しキツい口調で注意を促していた。

「それガスボンベのガス爆発や!」おとんが大声で消防隊員と警察官に伝えていた。「どうでしょうねぇ。まだわからないんですよ。」「そんなん見たらわかるやろっ!」なぜか切れ気味のおとんがいた。

そりゃ犯人だから間違いない。

結局ガスボンベの爆発で田舎町の大騒動は片付いた。

ボクら共犯者はテロリストにも目撃者にもなることなく二人で顔を見合わせて笑っていた。誰もケガがなかったからよかったが普通笑えない…。

少し大きくなったボクはテレビのサスペンスで犯人は現場に戻ると言う定説を1番理解していた。

いつまでもプロローグ

きっと自分の人生はまだ始まったばかりだ。なぜそんなことを言えるのか…まったく説明が付かない。でも真実なのだ。

昨日ふと思った事は今ではなんの意味も持たないしリセットされていて文脈を考えて作る文章ほどつまらないと思うし今ではなんの意味も持たない。

全ては予定通りに予定外のことが起こっていて肯定と矛盾が連鎖している。

常にプロローグなのかエピローグなのかなんて事も意味なんて無い。

今いつものカフェで好きな珈琲を飲んでいるがそれも過去の事実で不確実なこと。

そうだこんな時がアインシュタイン相対性理論を漁ってみるのがいいのかもしれない。結局理解できないでいる未来もまた不確実なこと。でもこれは確実なのかも…

いつまでも続く事はなく果てしなく続く事はもっと無くしばらく続く事はけっこう身近にあるのだ。

チョリソーが辛いのは当たり前なのにこの街では甘いチョリソーが売られている。当たり前の事もまた当たり前ではなくなっているのかも。

しばし観察するのもいいが、間違いなく飽きてしまう。元々興味がないからなのだろう…