不確実な日々

あれは自分が18才の若造だった頃…

高校を卒業してすぐに家を飛び出しアルバイトで貯めた金でなんとか六畳一間のボロボロアパートを借りた。

トイレ・風呂共同…
共同ってなんぞやぁ!風呂なんてなくコインでお湯が出る蛇口にホースがついてるシャワー室やないかぁ!
トイレはもちろん男女共用でしかもペーパーなし!
でも住めば都なのだ。
友達が粗大ゴミから拾ってきてくれた60センチ四方のボックス型冷蔵庫だけが自分の家具だった…

バイトから帰ってきたら何か部屋に違和感
唯一の家具の冷蔵庫が少し開いていた。
中身を確認すると自分では買っていないお酒が入っている…
トントン
玄関から人の気配とともにノック
「はい?」
「開けろ!」
はぁ???失礼なやつの訪問だなぁ!誰だよ!
恐る恐る引き戸の扉を開けるとネグリジェ姿の30代の女性が…
「どちら様ですか?」
何も言わず勝手に入ってきた!
えっ???何この人!!!
しかも勝手に冷蔵庫を開けて勝手に冷やしておいた赤ワインを取り出しラッパ飲みし始めた。
「なんなんすか??」
「飲む?」
いやいや飲まないし誰だよ!しかもネグリジェって!そして赤ワイン冷やしてラッパ飲みだし!ってかオレの冷蔵庫だしオレの部屋だっつーの!
「新人さんだね?」
「これからもよろしく!」
「となりの者だよ!」

はぁー?
これが近隣トラブル?
「よろしく…お願い…しま…す…💧」
「これからもよろしくって?」

「あー冷蔵庫!冷蔵庫借りるからさぁ!」
意味わかんねー!プライバシーってねーのかぁ!
まぁ悪い人っぽくはないが…💧

その人は春美姉さんって御節介だけと面倒見のいい姉さんだった。
他の住人さんにも親しまれていて色々お世話になった。

春美姉さんの事は色々あるのでまた次回に書きます

そんな不思議なアパートでの生活が1年過ぎたころ春美姉さんと管理人さんの計らいで中庭でのバーベキューパーティーが開催された。

食材は同じ住人でネパール人のディップが調達

「あのー肉は?」
ディップは野菜のカット工場で働いていて野菜の切れ端だけを持ち込んでくれた。
「黙って食え!」
お皿に焼き肉のタレを入れて焼いた野菜の切れ端を付けて食べた…
純粋に美味しく感じた。
「さぁ!バーベキューパーティーもした事だし後は作業ね!」管理人さんの掛け声でいきなりお開きになり両手には白いペンキとハケを強制的に渡された…
「なにするんですか?」
「ただ飯食ったんだからアパートのペンキ塗りだよ!」
なるほどそのためのバーベキューパーティーって事ね!
あまり嫌な気はしなかった。
他の住人達と仲良くなっていたのでワイワイしながらペンキ塗りも悪くなかった。
このアパートにはたくさんの海外の方がいて言葉もコミュニケーションも様々だけど一体感はあった。
黙々と作業するディップや赤ワインを飲みながらさぼる春美姉さんや適当な指示だけする管理人達

アパートのペンキ塗りは見事数時間で終了!

「あっ!!!」
「管理人さん!ディップが階段も全部白にしてしまいましたよ!」
しかも五月荘って看板まで…💧
これには管理人さん怒るだろうなぁ…💧

「まぁーしかたないよねー」

「全部白いから…そーだなぁ…」

「これからはこのアパート
   ホワイトハウスね!」
おいおいポジティブにもほどがあるだろー
ってかそのネーミングセンス!
ホワイトハウスはまずくないですか?」
自分の住所がホワイトハウスに変わるのだけは嫌だった
「じゃあハウスホワイトってことで!」
春美姉さんが味のある微妙な字で
ハウスホワイトと看板に書き直して
眩しい白いハウスホワイトの生活が続いていった…
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